今回は、ハンドメイド作品を作る際に「絵画」を模倣・モチーフにした作品を制作・販売しても良いのか?という点について、著作権・商標の基礎知識をまとめてみました!

・絵画の著作権・商標について基礎知識を知りたい!
・ハンドメイド作品の販売にあたり、権利侵害が気になる!
ハンドメイド作品の制作や販売をしていると、
「この絵を作品に使ってみたい」「子どもが描いたかわいい絵をアクセサリーにできないかな」
…と思うことはありませんか?
しかし、他人が描いた絵を模写したり、ネット上のイラストを使って商品を作ることは、知らないうちに「著作権」や「商標権」を侵害してしまう可能性があります。
今回は、ハンドメイド作家として安心して創作活動を楽しめるように、
「美術館にあるような有名絵画」、「現代アートやネット上のイラスト」、「子どもが描いた絵」のケースを取り上げて、具体的に見ていきたいと思います!
作品作りにおけるモヤモヤを少しでも解消し、楽しい制作活動にお役立ていただけましたら幸いです❀
※法律については素人の調べた内容ですので、最終的なご判断は専門家へご相談ください。
なお、著作権と商標についての基礎知識についてと、建造物の模倣については、下記の記事にまとめていますので是非ご覧ください♪
<基礎知識>
<建造物の模倣について>
美術館にある「有名絵画」の使用はNG?
結論:著作権が切れていれば基本的にOK。ただし注意点あり。
日本では、著作権は著作者の死後70年で消滅します。(国により法律の内容が異なるため注意!)
著作権法第51条(保護期間の原則)
著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
著作権は、著作者の死後70年を経過するまでの間、存続する。
※著作権法より一部抜粋
そのため、ゴッホ、モネ、葛飾北斎などの死後70年以上経っている作家の名画は自由に使うことが可能です。
(ピカソは2025年時点で死後70年経っていないためNG!)
ただし注意点もあり、美術館が撮影・加工した画像には別途著作権がある=画像を使用する際は、注意が必要!です。
現代アートやネット上のイラスト使用はNG?
結論:無許可の使用はNG!著作権侵害になる可能性あり。
現代のアーティストが描いた作品、SNSに投稿されたイラストなどは著作権が存続しており、無断使用はNGです。
著作権法第21条・28条により、著作物の複製や二次的利用は著作権者だけが行える権利とされています。
著作権法第21条(複製権)
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
※著作権法より一部抜粋
著作権法第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、
この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと
同一の種類の権利を専有する。
※著作権法より一部抜粋
「インスタで見たアートを模写してレジン作品として販売した」「他人の絵を元に刺繍を作り、minneやCreemaで販売した」というのはよくあるNG例!
対策として、下記の点を意識しましょう。
・商用利用OKのフリー素材・パブリックドメイン素材を使う
・作家本人に明示的に商用利用許可をもらう
・完全オリジナルで制作する
また、仮に絵画を購入し所有しても、複製し商品化して販売するのはNG!(著作権法第46条)
「展示」は自由でも、「利用・加工・販売」は著作権者の許可が必要です。
著作権法第46条(公開の美術の著作物等の利用) 美術の著作物でその原作品が前条第2項に規定する屋外の場所に 恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、 次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。 一 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合 二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合 三 前条第2項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合 四 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合 ※著作権法より一部抜粋 ※「前条第2項」には、「街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は 建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所」との記載がありました。
法律を見ていくと、細かく記載されているのですね・・・!

子どもが描いた絵を使ってもいいの?
結論:子どもでも著作権を持つ。
著作権法第2条では、「創作的な表現」があれば著作権が認められると定めています。
つまり、子どもが描いた絵にも自動的に著作権が発生します。
著作権法第2条(定義) この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。 二 著作者 著作物を創作する者をいう。 ※著作権法より一部抜粋
子どもの絵を使用する際のポイントは下記の通りです。
・親が子ども(未成年)の絵を使う場合は、 民法の観点から保護者として代理許可が可能 ・学校や教室の指導で描かれた作品は、 教育機関が著作権を持つ場合もあるため要確認 ・親が子どもの許可なく勝手に販売に使うと トラブルになることもあるため要注意
子どもの作品といえども、
「親がレジン加工してアクセサリーにし無断で販売」、「子どもが恥ずかしいと感じた絵を勝手に展示・ネット販売」、「絵に名前が書かれたまま商品として販売・公開」等を行った場合は、
様々な権利侵害になる可能性があるようですので、十分注意が必要です◎
商標にも要注意!ロゴやキャラクターの利用はNG?
作品を作る際、著作権とは別に「商標権」にも注意が必要です。
商標とは、企業やブランドが特定の商品・サービスを識別するために使用するロゴ・マーク・キャラクター等のこと(商標法第2条)。
著作権が切れていても、商標登録が続いているケースもある=未確認で使用すると商標権侵害になる可能性があるため要注意です!(商標権は更新で半永久的に存続)
参考リンク・おすすめツール
・【著作権】文化庁 著作権制度
・【商標検索】J-PlatPat
・【商用OK素材】イラストAC・かわいいフリー素材集いらすとやなど(※随時規約を要確認)

まとめ
いかがでしたでしょうか?❀
ハンドメイド作品は、作る人の想いが詰まった大切な表現。
だからこそ、著作権や商標といった法律を正しく理解し、ルールを守って制作・販売することが大切です。
今後も安心してハンドメイド活動を楽しむために、著作権フリー素材やオリジナル表現を大切に、自由で安全な創作活動を続けていきましょう!
ではでは、本日も素敵な1日となりますように◎